2024年度開催

第115回C-Bioセミナー(第3回イチゴセミナー)

2024年8月9日(金)14時00分~
場所:対面(宇都宮大学峰キャンパスゲノミクス研究棟2Fセミナー室)およびオンラインのハイブリッド形式
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講演者:磯部 祥子 博士(東京大学)
タイトル:未定
内容:未定

第114回C-Bioセミナー

2024年7月19日(金)10時20分~
場所:宇都宮大学峰キャンパス1E11教室
講演者:川村 哲規 博士(埼玉大学)
タイトル:ゼブラフィッシュとメダカの比較から紐解く魚類の背ビレと臀ビレの形態多様性と進化
内容:魚の種類を特徴づける形質の一つにヒレの位置や形があります。背ビレが背中のどこから始まりどこで終わるかは魚種によって大きく異なります。また臀ビレの終わりの位置も多様です。このような魚類のヒレの位置や形の多様性がどのようにして生じるのかは全くわかっていませんでした。今回、川村先生のグループは、からだの位置情報を担うHox遺伝子群に着目し、さまざまなHox遺伝子を破壊したゼブラフィッシュやメダカを作製した結果、ヒレ形成を促進するHox遺伝子と、ヒレ形成を抑制する別のHox遺伝子があり、これらがヒレの前端と後端の位置を決めていることを明らかにしました。この成果により、Hox遺伝子の働く場所が魚の種類によって異なることで、バラエティーに富んだヒレが生み出されることが本研究より初めて明らかとなりました。さらに、背ビレや臀ビレの形成位置を変化させた進化について、新たな知見が得られたので併せて紹介してもらいます。

第113回C-Bioセミナー(第2回イチゴセミナー)

2024年6月28日(金)13時00分~
場所:対面(宇都宮大学峰キャンパスゲノミクス研究棟2Fセミナー室)およびオンラインのハイブリッド形式
講演者:高木 宏樹 博士(石川県立大学)
タイトル:次世代シーケンサーを用いたFragaria属植物における遺伝解析の展開
内容:Fragaria属植物では、2011年に二倍体野生種であるF. vescaの基準ゲノム配列がはじめて決定され、近年では、異質八倍体のオランダイチゴ (F. x ananassa) の基準ゲノム配列も決定された。それ故、様々なFragaria属植物種において次世代シーケンサー (NGS) 由来のリードを用いたリシーケンス技術によるゲノムワイドな変異箇所同定が可能になった。本セミナーでは、リシーケンスデータを用いた解析により、まず、F. vescaのEMS突然変異体において標的形質の原因変異箇所を同定した手法を紹介する。また、F. x ananassaにおいて季成り性および四季成り性を決定する遺伝子領域PFRUの座乗位置を同定した手法についても紹介する。

第112回C-Bioセミナー(植物分子農学シリーズ)

2024年6月17日(月)12時40分~
場所:宇都宮大学峰キャンパス ゲノミクス研究棟2階セミナー室
*遠隔受講希望者はzoonにて配信
講演者:玉木 峻 博士(理化学研究所環境資源科学研究センター)
タイトル:細胞解析技術を利用して微細藻ユーグレナのカロテノイド機能を明らかにする
内容:光合成生物が普遍的に有する色素カロテノイドは光合成、抗酸化、光応答などに機能している。微細藻類の一種であるユーグレナが持つカロテノイドの機能を明らかにするために、様々な細胞解析技術を利用して研究を行ってきた。一つ目はタイムゲート法を用いた細胞イメージングである。これによりクロロフィルの自家蛍光を排除して、細胞内の活性酸素分子の動態を蛍光色素を用いて可視化することができた。二つ目は細胞の運動軌跡の解析技術である。これにより光に応答した細胞の遊泳の様子を定量化することができた。本講義ではこれらの方法と成果について詳細に紹介する。

第111回C-Bioセミナー(植物分子農学シリーズ)

2024年6月12日(水)8時40分~
場所:オンライン
講演者:Dr.Jekson Robertlee(理化学研究所環境資源科学研究センター)
タイトル:Harnessing molecular components to build a synthetic regulatory circuit: a platform for a smart metabolic reprogramming
内容:Arrangements of electrical components that work as logic gate circuits to process signals and allow electronic devices to function have brought us to the digital era. The same concepts have long been used in organisms since the beginning of life. Organisms maintain metabolisms through a chain of complex biochemical reactions processed by molecular components such as genes and protein networks. However, synthetic molecular components are needed to finetune biological phenomena through
biotechnology approaches. Therefore, a clear understanding of how organisms respond to endogenous and exogenous signals at the molecular level is needed to shed our ways to finetune them to our needs. In this talk, I would like to share my experience looking for clues to identify and develop the molecular components to act differently for biotechnology purposes. I will discuss my previous research in elucidating the regulation mechanism of the key-regulatory enzyme of a metabolic pathway in the plant; how to exemplify the knowledge to aid a gene finding that produces rare compounds; and strategies to produce a high-value compound in a heterologous host. I will also discuss my recent research on developing a novel synthetic regulatory circuit in plants, which acts as an additional molecular tool for plant science in the era of synthetic biology. By carefully designing the arrangements of molecular components, we may reprogram biological functions, which brings us closer to achieving sustainability by design.

第110回C-Bioセミナー(植物分子農学シリーズ)

2024年5月27日(月)14時20分~
場所:宇都宮大学峰キャンパス ゲノミクス研究棟2Fセミナー室
講演者:戸高 大輔 博士(理化学研究所環境資源科学研究センター)
タイトル:植物の環境ストレス耐性を向上させるエタノールプライミング
内容:植物は、乾燥や高温などの環境ストレスに対し優れた耐性機構を進化的に発達させてきた。近年、ケミカルプライミングという手法によって環境ストレス耐性をさらに向上させる研究が盛んに進められている。ケミカルプライミングは、特定の化合物で植物を予め処理することでその後曝されるストレスによる障害を軽減させる技術である。我々の研究室は、古くから人間にとって身近な物質であるエタノールで植物を予め処理することにより環境ストレス耐性が強化されることを見出した。本講義では、このエタノールによるプライミング機構の仕組みを解明する研究内容について紹介する。

第109回C-Bioセミナー(第1回イチゴセミナー)

2024年5月9日(木)14時00分~
場所:対面(宇都宮大学峰キャンパスゲノミクス研究棟2Fセミナー室)およびオンラインのハイブリッド形式
講演者:吉田梨乃氏(東京工業大学大学院・生命理工学院)・刑部祐里子 博士(東京工業大学・生命理工学院)
タイトル:イチゴのゲノム編集と生長様式の解明
内容:私たちは、植物の多種多様な生理応答を理解することを目的として、モデル植物以外の植物種における遺伝子機能解析のための技術開発を進めている。イチゴは、クローンを形成して増殖する栄養繁殖を示し、モデル植物にはない特徴をもつ。そこで、私たちはイチゴの栄養繁殖の制御に重要な役割を果たす植物ホルモンとしてストリゴラクトンに着目した。高効率CRISPR-Cas9を用い、二倍体野生イチゴFragaria vescaにおいてストリゴラクトン受容体D14遺伝子機能欠損変異体 (fvd14)を作製した。本セミナーでは、イチゴ特有のD14遺伝子機能欠損変異体の表現型について紹介する。さらに、個体レベルでの表現型解析に加え、イチゴ特有のクローン個体を含む群落でのfvd14の繁殖様式を明らかにするために、フィールドを模したバット上でイチゴを育成し、カメラを用いた繁殖の経時的解析を行った。このような実験系において新たに明らかとなったfvd14の表現型についても併せて紹介し、イチゴの栄養生長と生態について議論したい。

第108回C-Bioセミナー(植物分子農学シリーズ)

2024年4月24日(水)16時00分~
場所:オンライン
講演者:淡川 孝義 博士(理化学研究所環境資源科学研究センター)
タイトル:天然物生合成経路の利活用による新規活性分子の創出
内容:天然物生合成経路の中には、共通の中間体から複数の骨格へと生合成されるものが存在し、それらの酵素反応を解析し、利用することで、多様な活性分子を合成することが可能となる。本講義では、天然物の生合成に関わる、特異な生合成酵素とその利用による物質生産について解説する。糸状菌メロテルペノイドの生合成を例に挙げると、テルペン環化には共通の中間体からいくつかの生成物を与えるバリエーションがあり、それらをゲノムマイニングして用いることで多様な生合成経路を一挙に組み上げることができる。また、酸化酵素の中には構造類似性が高いが異なる反応を触媒するものが存在し、これらを結晶構造解析し、変異体を合成し、これを反応に用いることで、酸化位置、回数が異なる新たな生成物を取得することができる。