野生イチゴプロジェクト

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商品化を目的として作出された栽培イチゴは、育種の過程で遺伝的多様性が低下した結果、様々な環境ストレスに弱い傾向があります。宇都宮大学野生イチゴプロジェクトでは、遺伝的多様性が高く多様な環境で生息する野生イチゴを日本全国の自生地から収集し、病害虫への耐性を高める遺伝子や、未知の遺伝子の機能を最先端の手法を用いて明らかにすることで、今後のイチゴ育種や栽培技術の発展に役立てたいと考えています。将来は、様々なイチゴの野生種や突然変異系統を提供するNBRP(ナショナルバイオリソースプロジェクト)の拠点機関となることを目指しています。

プロジェクト発足の経緯

バイオサイエンス教育研究センターでは、令和2年度に植物分子農学研究部門を設置し、植物分子農学分野の強化を推進しています。これに関連して、令和4年度から野生イチゴに関する研究プロジェクトを開始しました。

イチゴセミナー
(宇都宮大学イチゴプロジェクト主催)

第1回イチゴセミナー

2024年5月9日(木)14時00分~
場所:対面(宇都宮大学峰キャンパスゲノミクス研究棟2Fセミナー室)およびオンラインのハイブリッド形式
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講演者:吉田梨乃氏(東京工業大学大学院・生命理工学院)・刑部祐里子 博士(東京工業大学・生命理工学院)
タイトル:イチゴのゲノム編集と生長様式の解明
私たちは、植物の多種多様な生理応答を理解することを目的として、モデル植物以外の植物種における遺伝子機能解析のための技術開発を進めている。イチゴは、クローンを形成して増殖する栄養繁殖を示し、モデル植物にはない特徴をもつ。そこで、私たちはイチゴの栄養繁殖の制御に重要な役割を果たす植物ホルモンとしてストリゴラクトンに着目した。高効率CRISPR-Cas9を用い、二倍体野生イチゴFragaria vescaにおいてストリゴラクトン受容体D14遺伝子機能欠損変異体 (fvd14)を作製した。本セミナーでは、イチゴ特有のD14遺伝子機能欠損変異体の表現型について紹介する。さらに、個体レベルでの表現型解析に加え、イチゴ特有のクローン個体を含む群落でのfvd14の繁殖様式を明らかにするために、フィールドを模したバット上でイチゴを育成し、カメラを用いた繁殖の経時的解析を行った。このような実験系において新たに明らかとなったfvd14の表現型についても併せて紹介し、イチゴの栄養生長と生態について議論したい。