C-Bioセミナー(研究セミナー)

C-Bioセミナーは、学内外の研究者による研究セミナーです。
C-Bio Seminar; Seminars on latest topics by inside and outside researchers

 

平成27年9月17日(木)15:00~16:00 セミナー室

大西 利幸 博士(静岡大学・学術院 / グリーン科学技術研究所)

お茶の香りの貯蔵メカニズム~香り成分の安定的な貯蔵の鍵を握る酵素遺伝子~

お茶は世界三大ノンアルコール飲料の一つであり,緑茶,烏龍茶,紅茶がよく飲用されており,香りはお茶の品質を決定付ける重要な要素です。香りのバラエティーが異なる緑茶,烏龍茶,紅茶ですが,ただ一種のチャノキ (チャ; Camellia sinensis) から製造されています.つまり,緑茶,烏龍茶,紅茶のいずれも香り成分の“源”は同じです.チャノキにおいて香り成分は,「配糖体」と呼ばれる物質として貯蔵されています.本セミナーではチャの香りの貯蔵形態である香気前駆配糖体プリメベロシドの生合成について話題を提供します。

 

平成27年5月20日(水)15:00~16:00 セミナー室 (告知ポスター

笠原 博幸 博士(理化学研究所・環境資源科学研究センター)

オーキシン生合成・不活化研究における最近の話題

オーキシンは植物の成長と分化の様々な局面で中心的な役割を果たす植物ホルモンである。オーキシンの一種であるインドール-3-酢酸(IAA)は植物の細胞間を極性輸送されて濃度勾配を形成し、細胞伸長や細胞分化を調節することが知られている。植物におけるIAAの生合成経路は長い間不明であったが、Trpからインドール-3-ピルビン酸を経由して主に合成されていることが最近明らかになった。また、IAAの不活化経路では2-オキシインドール-3-酢酸(OxIAA)への酸化と、これに続くグルコシル化の酵素が相次いで同定され、IAA不活化におけるOxIAA経路の重要性が明らかになった。一方、これまで極性輸送されるタイプのオーキシンしか植物に存在しないと考えられてきたが、フェニル酢酸(PAA)がIAAとは異なる機構で輸送される新しいタイプの天然オーキシンであることが明らかになった。PAAはコケ類を含む様々な植物に広く存在し、またIAAより生理活性は弱いものの、同じTIR1/AFB経路にてオーキシン応答遺伝子の発現を制御することが分かった。これにより、移動特性の異なる2つのオーキシンが植物の成長と分化の制御に関与している可能性が示された。今回のセミナーでは、上記を含むオーキシンの生合成・不活化機構に関する最近の話題を紹介する。

 

平成27年3月10日(火)15:00~17:00 セミナー室

●井口 泰泉(自然科学研究機構・基礎生物学研究所・岡崎統合バイオサイエンスセンター)
Environmental Sex Determination in the Water Flea and American Alligator
ミジンコおよびミシシッピーワニの環境依存型性決定
●Maria S. Sepúlveda (Department of Forestry & Natural Resources and Bindley Biological Sciences, Purdue University)

Natural and Synthetic Sex Hormones: Mechanisms and Impacts on Gonadal Development in Gonochoristic Fishes
雌雄異体の魚類における性ホルモンの作用機構と影響

井口 泰泉

Environmental Sex Determination in the Water Flea and American Alligator

ミジンコおよびミシシッピーワニの環境依存型性決定

甲殻類のミジンコは環境が良ければ単為生殖で3日毎にメスが30匹ほどのメスを産んで増えますが、生息環境が悪くなる(餌不足、混雑、低温、短日)とオスを産み、交尾して乾燥にも耐えられる鞘をもつ耐久卵(休眠卵)を作りみます。耐久卵からは2匹のメスが生まれ、ミジンコ算で増殖します。ミジンコは藻類を食べて増え、魚類の餌に、食物連鎖の中間に位置する重要な生物なので、世界的に環境に出る化学物質の安全性試験に使われています。生まれて24時間以内の仔を50 mlのビーカーで3週間飼育して、生まれた仔の総数で(慢性毒性)、化学物質の影響を判断しています。今時、生まれる仔の数だけで化学物質の安全性を調べるのはあまりにダサい。というのが研究の始まりです。

環境が悪くなるとどのような仕組みでオスを産むのか、という問題を考えていた時に、幼若ホルモンの構造を少し変えた、ペットのノミやダニの駆除剤をミジンコの飼育水に入れるとオスを産むことを見つけました。幼若ホルモンを飼育水に入れてもオスを産むことから、環境が悪くなると母親の体内で幼若ホルモンが合成される可能性があります。母親の卵巣内の排卵前の卵が幼若ホルモンに曝露されるとその卵はオスになる様に運命付けられます。無処理の親から生まれた卵(メスに発生)と幼若ホルモンを曝露した親から生まれた卵(オスに発生)の胚で遺伝子発現を比較し、dsx1遺伝子がオスで発現が高いこと、オスになる卵を用いてdsx1の発現をRNAiで止めるとメスになること、この遺伝子をメスになる卵にマイクロインジェクションするとオスの表現系を示すことから、dsx1はミジンコのオスへの性分化遺伝子であることが分かりました。幼若ホルモンの受容体はMetとSRCのヘテロダイマーであることも見出しました。最近ではゲノム編集(TALEN)により特定の遺伝子をノックダウンする方法を開発し、ミジンコの幼若ホルモンはメチルファーネゾエイト(MF)であることも見つけています。また、日長の変化によりオス・メスを産み分けるミジンコの系統を見つけました。短日にすると、MF合成に必要な酵素の遺伝子JHAMTの発現が増加しオスを産み、長日ではメスを産みます。イオンチャネル共役型グルタミン酸受容体が内在性の幼若ホルモン合成を促進している可能性を見出しています。ワニの温度依存性性決定についての研究も紹介します。

 Maria S. Sepúlveda

(Department of Forestry & Natural Resources and Bindley Biological Sciences, Purdue University)

Natural and Synthetic Sex Hormones: Mechanisms and Impacts on Gonadal Development in Gonochoristic Fishes

雌雄異体の魚類における性ホルモンの作用機構と影響

Teleost fish are unique among vertebrates in that phenotypic sex or onset of sex inversion can be easily manipulated by hormonal treatments.  In recent years, researchers have begun reporting concentrations of synthetic and natural hormones in the environment.  Although concentrations are very low (in the parts per trillion to low parts per billion) they are still of concern because of the high potency of synthetic hormones and the enhanced susceptibility of teleost fishes, especially early life stages, to hormonal exposures.  In this seminar, I will focus on how exposure to environmental hormones known to contaminate aquatic environments can impact sex differentiation in teleost fishes.  Specifically, I will focus on two case studies our laboratory has been working on: 1) Effects on gonadal development and gene expression in fathead minnows (Pimephales promelas) exposed to a confined animal feeding operation (CAFO) hormonal mixture; and 2) Development of sensitive biomarkers of intersex in Japanese medaka (Oryzias latipes) exposed to synthetic hormones. I will also discuss data showing the importance of temperature on sex differentiation of fathead minnows.

硬骨魚類は、性ホルモン投与で簡単に表現型の性別を変換できるという点で特異な脊椎動物です。最近、合成もしくは天然ホルモンの環境中の濃度が報告されています。その濃度は低いのですが、合成ホルモンの作用効率が高いことと、特に発生初期の魚類はホルモンに高い感受性を示すことから、環境へのホルモン混入は懸念材料となっています。本セミナーでは、水圏環境に混入している環境中のホルモンに魚類の性分化がどのように影響されるかを中心にお話します。特に我々の行っている以下の2つの研究:(1) ファットヘッドミノーを用いたCAFOホルモンミックス暴露時の生殖腺分化と遺伝子発現の影響、(2) メダカを用いた合成ホルモン暴露時のバイオマーカー開発、を紹介します。さらに、ファットヘッドミノーの性分化における温度の影響を示すデータを示し議論します。

 

 

過去のセミナー

第26回 平成26年11月17日(月)14:30~16:00 セミナー室
Fawaz G.Haj先生(カリフォルニア大学デービス校)
「Metabolic Regulation by pancreatic T cell protein tyrosine phosphatase 」

第25回 平成26年6月20日(金)16:10~17:30 セミナー室
水重 貴文(宇都宮大学農学部 准教授)
「精神的ストレスを緩和する食品由来ペプチド」

第24回 平成26年5月22日(木)16:10~17:30 セミナー室
多田 安臣(名古屋大学遺伝子実験施設 教授)
「サリチル酸誘導性免疫システムの解明」

第23回 平成25年11月19日(火)16:10~17:30 セミナー室
金野 尚武(宇都宮大学農学部応用生命化学科 准教授)
「きのこ類に含まれる機能性多糖と関連酵素」>ポスター

第22回 平成25年7月22日(金)16:10~17:30 セミナー室
比嘉 毅(九州大学)
「プラスチドに依存した核光定位運動」

第21回 平成25年5月17日(金)16:10~17:30 セミナー室
黒倉 健(宇都宮大学農学部)
「バラ科花成モデルとしての2倍体イチゴの利用」

第20回 平成25年4月26日(金)16:10~17:30 セミナー室
森安 裕二(埼玉大学)
「タバコ培養細胞が栄養飢餓条件下で引き起こすオートファジー」

第19回 平成25年1月25日(金)15:00~17:00 セミナー室第
沼田 圭司(理化学研究所バイオマス工学研究プログラムチーム)
吉積  毅(慶應義塾大学先端生命科学研究所)
「選択的オルガネラ形質転換法の開発によるバイオ物質の大量⽣生産」

第18回 平成24年12月8日(土)12:00~18:00 セミナー室
菊池 潔(東京大学 大学院農学生命科学研究科)
平井 俊朗(帝京科学 大学生命環境学部生命科学科)
「第7回Dmy研究会・第2回新潟大学系統生物研究センター研究集会」

第17回 平成24年12月1日(土)14:00~17:00 セミナー室
2000年から2005年度に活動していた学術振興機構さきがけ研究21の「認識と形成」領域に所属していた研究者の集う研究会を一部公開しました。
「認識と形成研究会2012」

第16回 平成24年11月14日(水)16:10~17:40 セミナー室
藤巻 秀(日本原子力研究開発機構RIイメージング研究グループリーダー)
尹 永根(日本原子力研究開発機構RIイメージング研究グループ博士研究員)
「RI・イメージング技術・農業・環境」

第15回 平成24年6月22日(金)16:10~17:40 セミナー室
山田 潔(農学部応用生物化学コース・講師)
「腸管免疫系における腸管上皮細胞の役割:微生物の認識と細胞応答の調節」

第14回 平成24年6月2日(土)13:00~15:00 セミナー室
Mark andrew Cline博士(Deperment on Biology Radford Univercity)
「神経伝達物質による摂食調節~拒食症と肥満モデルニワトリを用いた研究~Elucidating basic neurotransmitter regulatory mechanisms of appetite via alternative vertebrates including unique anorexic and obese models.」

第13回 平成24年5月25日(金)16:10~17:40 セミナー室
佐藤 祐介(農学部生物生産学科動物コース・助教)
「筋肉はなぜ萎縮するのか?~私が筋肉の研究を始めた理由~」

第12回 平成24年5月17日(木)16:30~17:30 セミナー室
Tracy G. Anthony博士 (Indiana University School of Medicine-Evansville), Amino Acid Nutrition and the Integrated Stress Response.

第11回 平成24年3月15日 14時〜16時 セミナー室
・田中佐代子(筑波大学芸術系・准教授) 「研究発表に役立つビジュアルデザインの基本」
・小林麻己人(筑波大学医学医療系・講師)「スライド作りのポイント紹介」
・三輪佳宏(筑波大学医学医療系・講師) 「『理解』を生むプレゼンとは?」

第10回 平成23年6月3日 16:10〜17:40 セミナー室
千葉一裕(東京農工大学大学院連合農学研究科教授・イノベーション推進機構 機構長)
「大学院生の目標設定と将来設計の方法ー有意義な研究の進め方とその心構えー」

第9回 平成23年5月13日
児玉 豊(バイオサイエンス教育研究センター・助教)
「温度依存的なオルガネラ運動研究と蛍光イメージング技術の開発」

第8回 平成23年1月21日
原田 英美子(滋賀県立大学 環境科学部 准教授)
「元素イメージングによる植物の重金属耐性・蓄積機構の解明」

第7回 平成22年12月10日
岡村 正愛(キリンホールディングス㈱ フロンティア技術研究所 主任研究員)
「バイオテクノロジーによる植物の多様性の誘導とその利用研究」

第6回 平成21年12月22日
吉崎 悟朗(東京海洋大学 海洋科学部 洋生物資源学科)
「生殖細胞研究でマグロの未来が救えるか?」

第5回 平成21年12月11日
原田 英美子(京都大学 生存圏研究所 ミッション専攻研究員)
「重金属集積植物のメカニズム解明とその応用」

第4回 平成21年11月12日
渡辺 正夫 教授(東北大学大学院 生命科学研究科 植物生殖遺伝分野)
「アブラナ科植物の自家不和合性~花粉と雌ずいにおける自他識別分子機構~」

第3回 平成21年2月23日
山本· 直樹 教授(お茶の水女子大学 大学院 人間文化創造科学研究科研究院)
「植物の光応答の多様性と青色光受容体クリプトクロムの核局在」

第2回 平成21年1月30日
野村 崇人(雑草科学研究センター・准教授)「植物の成長を制御する遺伝子とその機能」
高橋 美智子 (生物生産科学科植物コース・准教授)「植物の鉄栄養輸送」

第1回 平成20年3月27日
和氣 貴光(奈良先端大)「シロイヌナズナの根の発生に関与する遺伝子の探索とその機能解析」