メダカの飼い方

メダカの飼い方、飼育法

私の研究室で研究用に使っているメダカの飼い方、増やし方、飼育方法を紹介します。

屋外編         

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上部に横穴をあけたコンテナです。宇都宮の冬を無事に越してくれました。
雨のかかるところに置いています。外に設置すると、自然に付着する藻をたべたりするので、あまり餌をやらなくてもよいです。

室内編           

室内といっても年中卵を採卵できるように気温26℃、14時間明期ー10時間暗期に調節されています。 鉄筋コンクリート建物内の20平方メートルの部屋をエアコンとオイルヒーター(暗期だけスイッチONになる)で制御しています。 エアコンが集中管理のため、季節によって微妙に条件を変えています。気温は26℃を目指していますが、最低最高気温を測るとけっこう幅があります。水温はそれほど影響を受けていないと思いますが、...。

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マウスケージやプラケースに止水で飼っています。
エレクターシェルフや中軽量棚(サカエ)の棚に、照明は蛍光灯です。
最近LED照明を導入してみました。蛍光灯より発熱しないはず。その結果このような部屋では冷房代金の節約になるはずです。(でも、その効果を計るのは難しいかも)

メダカの殖やし方・卵の取り方

研究用メダカの卵の取り方、うちのラボの場合を紹介します。

一番手抜きな方法は、飼育しているメダカが卵を毎日産んでいるのを確認して、その水槽から親だけすくって別の水槽に移す。8〜10日後メダカが湧いてきます。湧き出る訳ではなく卵からふ化したメダカが水面に泳ぎ出てくるのですが、このやり方がうまくいくのは水が緑の時がよいように思います。すると卵は見えないので、湧いてくる感じです。成功のためには水質が安定していることです。水質が安定していると死んだ卵に水カビが生えないのです。水が透明のときもあるけど、グリーンウォーターの時も多いです。野外もこれでOKです。ただ、水槽が大きくて水が濁っていると、親をすくい残すことがあります。この場合、ふ化した稚魚は残った親に食べられてしまいます。毎日卵を産んでいたのに、稚魚が湧いてこない場合はたいがい親のすくい残しです。

手をかけた方法は、(1) 受精卵を回収、(2) 受精卵の付着糸を取り除いて、(3) シャーレでふ化まで飼育します。毎日死んだ卵を取り除く必要があります。受精卵を回収するのには、5ml〜10mlの駒込ピペットを使って、メダカのお腹に付いている受精卵を吸い取ります。最初は、網ですくってメダカの行き場を少なくしてやるとよいと思います。慣れてくると泳いでいるメダカのお腹から卵塊を吸い取ることができるようになります。付着糸を取り除く方法は2通り、カレンダーを5cm角程度に切り、その上に集めた卵を置いて、指の腹でころころ転がすと、付着糸がとれます。もう一つは、2本のピンセットを使って付着糸をつかみ、かいぐりあめの要領でぐりぐりやることで付着糸を絡めとる方法です。この方法は卵の数が多い時に向いています。シャーレに入れた水にはメチレンブルーを加えておきます。こうすると、死んだ卵にミズカビが発生するのを抑えることができます。また、死卵は真っ青に染まるので、ひと目で死んだ卵か生きている卵か見分けられます。
(つづきと写真は近日アップ予定)

メダカの性別

メダカの性別が遺伝的に決まることは、1921年会田龍雄により報告されました。ヒメダカの雄とシロメダカの雌とを交配すると、常に雄はヒメダカ、雌はシロメダカとなる系統を作出したのです。ヒメダカとシロメダカを決める遺伝子(r遺伝子座)が性別を決める遺伝子の近傍に位置していることを示したのです。このことからメダカの性別は遺伝的に決められており、ほ乳類と同様の雄へテロ(XX-XY型)であることが分かったのです。
この系統にはd-rRと名前が付けられました。このd-rR系統は、体色で遺伝的な性別が分かるという点で優れたモデル動物でした。山本時男はこの系統を使って、性ホルモンによる性転換実験を行いました。その結果、性ホルモン投与により、完全な性転換を人工的に誘発可能であることが分かったのです。つまり、XXの雄は正常な精子をつくるし、XYの雌は正常な卵を産むことがわかりました。

つづく、...

メダカについて

メダカの学名はOryzias latipes といいます。

中学生のころの私は、学校が終わると毎日のように近所の用水路や川に行って魚をすくって遊んでいたので、メダカもよくすくっていました。高校生の頃 は熱帯魚の飼育にはまっていて、川へ行くことも少なくなっていました。その後、大学院生になって偶然メダカを研究対象とするようになったので、実家に帰っ た際に以前メダカをすくっていた用水路にいってみましたが、メダカの姿は無くなっていました。

宇都宮に来てから、水田と用水路の関係が変わったことが、水田に生息していた生物の生活を大きく変えてしまったということがよくわかりました。
メ ダカ里親の会のメダカ池を見せてもらうと、たった一つのことで、環境が大きく変わることに気がつきます。そこでは、冬にも常時水の枯れない水辺をつくって いるのです。たった、これだけのことで、メダカは冬を越すことが可能になり、メダカ以外の水棲動物にとっても良い環境だできあがり、自然が豊かになってい ます。

つづく...