宮川(岡本)美里 博士が日本動物学会女性研究者奨励OM賞を受賞

投稿者: | 2018年6月4日

宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの環境生理学研究室(宮川研究室)に所属する日本学術振興会特別研究員(PD)である宮川(岡本)美里(みやかわ(おかもと)みさと)博士が、公益社団法人・日本動物学会(http://www.zoology.or.jp)の女性研究者奨励OM賞を受賞しました。受賞課題は「アリ類で進化した性決定機構における分子遺伝学的基盤の解明」です。授賞式および受賞講演は、平成30年9月13-15日に札幌で開催される第89回大会(http://www.zoology.or.jp/annual-meeting/1/)で行われます。


アリを含む膜翅目昆虫は侵略種としての影響が大きく、動物全体のバイオマスの約25%を占めるほど世界中に分布しています。宮川(岡本)博士は、なぜ膜翅目昆虫がこれほどまでに繁栄できたのか、その原因を明らかにすべく研究を進めてきました。

アリは性別を決める働きをする遺伝子の性質上、近親者間の交尾(近親交配)が起こると働きアリを効率的に産生できず、集団がすぐに弱体化してしまいます。一般的に新たな生息地への侵入は少数の個体によってもたらされるため、「血が濃く」なりがちな侵入初期の集団はすぐに弱体化します。したがって新しい生息地の定着には何度も異なる集団からの侵入が必要だと考えられていました。

宮川(岡本)博士は、行動生態学・遺伝学・分子生物学を駆使した研究により、一部のアリ類で近親交配のコストを抑制する繁殖様式や性決定機構が進化していることを明らかにしました。この結果は、アリ類が私たちの予想よりも近親交配に強く、少数の個体でも侵入許すことで生態系に大きなダメージをもたらす可能性を示しています。

現在は近親交配のコストに抑制効果のある形質がどのように獲得されたかを知るため、より詳細な分子メカニズムに注目して研究を行っています。宮川(岡本)博士の研究テーマは生物学における性の進化の謎に迫る学術的意義に加え、外来種の管理施策の観点からも重要な知見になることが期待されます。

 

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宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センター
TEL:028-649-5527 Mail:c-bio@cc.utsunomiya-u.ac.jp
担当:大野