目指すのは「未来型の農学」と「究極の地域貢献」

 児玉 豊 部門長

”植物分子農学とは何か?” 2000年に植物(シロイヌナズナ)のゲノムDNA配列が初めて解読され、その後、多くの植物種でゲノムDNA配列が明らかにされています。これらの配列は、植物の設計図とも言えます。しかし、これだけでは植物の成長を操ることができず、ゲノムDNAに含まれている個々の遺伝子の機能を知る必要がありました。これまで植物科学者は、設計図(ゲノムDNA配列)を植物の形態や環境応答などと照らし合わせ、「いつ・どこで・どうやって」、遺伝子が機能しているのかを調べてきました。遺伝子の機能は「取り扱い説明書」のようなもので、最近では植物の成長を分子レベルで操る方法が少しずつわかってきました。 一方、農作物は、農家の経験と技術によって地域の環境に合わせた品種が栽培されています。しかし近い将来、気候変動によって、従来の農業を持続することが難しくなると予想されます。そこで農作物の栽培に、植物科学者が持っている最新の「取り扱い説明書」を組み合わせれば、地域における既存農作物の生産量の向上だけでなく、新規農作物の導入の可能性を広げることができると考えています。農作物の栽培に貢献する分子(DNAや遺伝子など)を科学する学問として「植物分子農学」を確立し、部門として強力に研究を推進します。

”なぜ宇都宮大学で行うのか?” 宇都宮大学が位置する栃木県とその周辺地域は、内陸性の気候であり、夏は高温多湿、冬は少雨乾燥となるだけでなく、寒暖差が大きいことが特徴です。このような気候の中、ご存知の「いちご」など、収穫量が全国順位で上位となる農作物がたくさん作られています。しかし、気候変動によって、露地栽培およびハウス栽培などの農業環境が急激に変化しており、将来、安定的な食糧生産が困難になることが予想されます。 植物分子農学研究部門では、「内陸性気候での農作物栽培に貢献する研究」や「栃木県とその周辺地域の特産品を守る研究」を推進し、ファイトバイオームを意識した未来型農業の提案によって、栃木県やその周辺地域だけでなく、世界における類似の気候地域を豊かにしたいと考えています。また宇都宮大学は、栃木県および周辺地域の農業の未来に対して責任を持ち、最先端の植物科学を駆使した究極の地域貢献を目指します。

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