研究内容

内生シグナル分子に制御される植物生長のしくみを解明

当研究室では、植物から農業上有用な形質を制御する遺伝子を探索し、その機能を解明する研究を行っています。主に植物ホルモンなどの内生シグナル分子に関連した遺伝子の機能を解析しています。

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〜ストリゴラクトン〜

植物の枝分かれの数は、花や種子の数さらに質に影響するため、作物の生産性と深く関わります。近年、ストリゴラクトンと呼ばれる植物内生の物質が枝分かれ抑制ホルモンとして働いていることが明らかにされました。さらに、根から浸出したストリゴラクトンは、土壌からリンや窒素を吸収して宿主植物に供給するアーバスキュラー菌根菌との共生シグナルであり、また、根に寄生して宿主植物から栄養を奪う根寄生植物の寄生シグナルにもなっています(図1)。

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図1 ストリゴラクトンの働き

本研究では、植物におけるストリゴラクトンの生合成経路や新たな生理作用を解明するために、ストリゴラクトン生合成酵素遺伝子の機能解析を進めています。ストリゴラクトンの生合成の解明が進むと、その調節による地上部の形態制御、菌根菌共生の促進による生産性の増大、さらには発展途上国の農業生産に壊滅的な被害を与えている根寄生雑草の画期的な防除法の開発が可能になるものと期待されています。

〜ステロイド〜

我々人間を含むほ乳類では、ステロイドホルモンとして性ホルモンや副腎皮質ホルモンなどが知られています。また、昆虫や甲殻類の脱皮ホルモンもステロイドホルモンです(図2)。植物はステロイドホルモンとしてブラシノステロイドを生合成しており、主に成長ホルモンとして働きます(図3)。

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図2 ステロイドホルモン
(a)プロゲステロン(動物)、(b)エクジステロイド(昆虫) 、(c)ブラシノステロイド(植物)

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図3 ブラシノステロイドの生理作用
シロイヌナズナの正常種(左)とブラシノステロイドを作れない変異体(右)

さらに植物は、動物のステロイドホルモンも生合成していることが1920年代から知られています。しかしながら、なぜ植物が動物のステロイドホルモンを生合成しているのか、現在もその理由は明らかにされていません。本研究では、植物における動物ステロイドホルモンの生合成経路やその役割を解明するために、植物がもつ動物ステロイド生合成酵素遺伝子の同定に向けた研究を進めています。


習得技術

当研究室では、植物の生長生理現象を分子のレベルで研究しています。「植物ホルモン」という低分子の天然生理活性物質を単離・定量したり、その生合成やシグナル伝達に関与する「遺伝子」を解析しています。したがって、習得可能な専門技術は、微量生理活性天然物の分析法と生理学的研究手法、そして分子生物学的諸技術です。

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LC-MS/MS:植物ホルモンに限らず、化学物質の定性と定量に用いる分析機器です。

GC-MS:気化成分の分析を行う分析機器です。サンプル注入まで全自動です。

HPLC:抽出物から化学成分を精製する機器です。

PCR:遺伝子を増幅する機器です。