私達の研究室では、植物が生産・分泌する生理活性物質、特に、他の植物の発芽や成長に影響を与える物質−他感作用物質:アレロケミカル−について研究しています。
現在の主要な研究テーマは、ヤセウツボなどの根寄生植物の種子発芽刺激物質であり、植物の根に共生するアーバスキュラー菌根(AM)菌の菌糸分岐誘導物質でもあるストリゴラクトンの単離・構造解析、作用機構および生合成経路の解明です。ストリゴラクトンの生産・分泌の調節ができれば、AM菌の共生を促進して植物生産性を向上させたり、環境耐性を付与したり、アフリカ、中近東、アジア、地中海沿岸諸国の農業生産に壊滅的な被害を与えている根寄生植物を制御することが可能になると期待されています。
そんなわけで、研究手法は天然物有機化学が中心ですが、テーマによっては分子生物学、植物生理学などからのアプローチも試みています。
現在までに15種類以上のストリゴラクトンが単離・構造決定されていますが、7種類は、我々が単離したものです。最近、ストリゴラクトンは植物の枝分かれを制御するホルモンであることが分かり、注目されています。
ストリゴラクトンの生産・分泌に対する環境要因の影響、特に、肥料成分の影響について、各種の植物を材料に検討しています。さらに、コケ類や緑藻類のストリゴラクトンについても解析を進めています。