野生イチゴと栽培イチゴ

日本には約300種の栽培イチゴが存在し(登録予定を含む)、全てFragaria属 です。2013年よりゲノムの解読が進み、栽培イチゴ(F. × ananassa、オランダイチゴ)の原種が明らかになりつつあります。2023年現在、記載されている野生種は22種であり、中でも F. iinumae (ノウゴウイチゴ)F. nipponica (シロバナノヘビイチゴ)は日本固有種です。栽培イチゴ(2n=56)のゲノムは、祖先種から受け継いだ4つのサブゲノムで構成されていますが、これらの日本固有種2種の祖先種が、栽培イチゴのサブゲノムに含まれると考えられています1。ただし、地理的な要素を考慮すると、日本固有のF. nipponicaの祖先種が栽培イチゴのサブゲノムに含まれる可能性については、謎が深まるばかりです。栽培イチゴは8倍体(2n=56)で粒が大きいですが、野生イチゴは2倍体(2n=14)で粒が小さく、味や香りは栽培種に劣ります。


1. Fan et al. (2024). Homoploid Hybridization Resolves the Origin of Octoploid Strawberries. bioRxivhttps://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.09.12.612680v1

栽培イチゴ(左)と野生イチゴ(右)





野生イチゴの基礎研究の成果をイチゴ栽培に活かす

普段流通しているイチゴは野生のイチゴから育種され作られました。育種は「長所を伸ばし・短所を切り捨てる」行為ですが、必ずしも狙った長所だけ・短所だけを選ぶことはできず、「切り捨てられてしまった」遺伝子が出てきてしまいます。宇都宮大学イチゴプロジェクトチームでは、このような「育種の過程で切り捨てられてしまった有用な遺伝子」を持つことが期待される野生のイチゴを日本全国の自生地から収集し、病害虫耐性の向上に関わる遺伝子や、温暖化や輸送に強い品種の特性を担う遺伝子の機能を最先端の手法を用いて明らかにし、今後のイチゴ育種や栽培技術の発展に役立てたいと考えています。

つながりたい

宇都宮大学イチゴプロジェクトは、イチゴ研究に関連する分野で多くの企業、農業試験場、大学の研究室と連携し、研究の発展を目指しています。イチゴの研究をしたい学生の皆様からのご質問(研究室の所属、大学院進学、日本学術振興会特別研究員受け入れ)も歓迎いたします。お気軽にお問い合わせください。