大谷夏いちご栽培施設の見学

約10年前、端境期の夏でもイチゴを収穫できるように、大谷の旧採石場地下から湧き出る年間を通して約10度前後の冷水を利用し、株元(クラウン)を冷却して花芽の分化を促す技術が考案されました。これはイチゴが15℃以下で花芽を作る性質を活用したもので、宇都宮市と宇都宮大学農学部 志賀 徹 名誉教授(当時)らが実証に成功しました。その後、県内企業が「大谷夏いちご」の栽培に取り組み始めました。

しかし近年の猛暑により、クラウン冷却を行っても夏いちごの生育が悪くなり、粒が小さくなるなどの課題が生じています。そこで、宇都宮大学イチゴプロジェクトの黒倉健准教授と深沢嘉紀准教授が、夏いちご(なつおとめ)を栽培するシーデーピージャパンのハウスを訪問し、栽培技術の改善に向けたアドバイスを行いました。

黒倉准教授からは、培地の水を蒸発させることで冷却効果を高める工夫や、屋根の遮光対策の重要性が指摘されました。また、株に過度な負担をかけないために、あえて実をつけない時期を設けて次に育つ実を大きく育てる方法も推奨されました。

宇都宮大学イチゴプロジェクトでは引き続き、現場と連携しながら技術的支援を行い、県内のイチゴ産業の発展に貢献していきたいと考えています。