有用形質をターゲットとした遺伝子工学

野生イチゴおよび栽培イチゴの遺伝子機能を解析するため、遺伝子組換え技術やゲノム編集技術の確立を進めています。イチゴの分子遺伝学的基盤に関する研究は世界中で進められていますが、農業形質を標的とした機能解析は十分に進んでいません。本プロジェクトでは、アグロバクテリウムを用いて野生イチゴの葉盤に目的遺伝子を導入し、形質転換を行うなど、遺伝子改変技術の確立を進めるとともに、収量向上や病害抵抗性に関与する遺伝子の機能解析を行っています。

遺伝子改変によって創出された表現型として、これまでに葉枚数の増加、ランナー数の減少、花の形態的特徴の変化を確認しています。

栽培イチゴを用いた遺伝子工学研究

日本で育成されたイチゴ品種「女峰」を標準系統として用いた分子生物学的研究を進めています。「女峰」は現在ほとんど生産されていませんが、かつて全国的に栽培されていた歴史があり、その記録が本研究において貴重な情報を提供しています。本研究では、「女峰」を食用品種としてではなく、遺伝子機能解析を行うためのモデルとして利用し、ゲノム編集などの技術を用いた研究を進めています。

本研究の目的は、形質転換やゲノム編集技術を活用した遺伝子機能解析の手法を確立するとともに、野生イチゴで同定された有用遺伝子を栽培品種に導入する技術を開発することです。