開校式、講座の紹介

8月4日,ついに開講しました!

9時から峰が丘講堂で開講式を行いました。
43名の受講生と本学関係者の他,ご来賓として栃木県教育委員会から学校教育課高等学校教育担当副主幹の新井先生,宇都宮清陵高等学校校長で栃高研理科部会長の白相先生のご臨席をいただきました。
茅野副学長が「栃木県からグローバルに活躍する科学者を育てていきたい。好奇心を発揮して,先生方にどんどん質問してほしい」とあいさつ。これに応じて,受講生代表・臼居君(栃木高校)が「まだ知らない新しい分野にも関心を広げていこうと思います」と決意を述べてくれました。

次の新聞,テレビに取り上げていただきました:
下野新聞(8月5日),読売新聞(8月5日、6日)(地域 ,中高生),とちぎテレビ イブニング6(8月4日)。

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《共通:セルフコーチング入門》
8月4日,開講式に引き続いて「セルフコーチング入門」(共通科目,㈱コーチングシステムズ,稲垣友仁先生)を実施しました。
iP-Uが特に大事だと考える5つの「基盤的能力」のうち,3つの力の成長に役立つのがセルフコーチングです。

coaching
self-coaching

コーチングの基礎スキルは「聴く」「承認」「質問」でしたね。iP-Uで何を達成したいのか自分の内なる声を聴き,それを仲間に話す。それに仲間が質問し,その質問に答える。そんなシンプルなプロセスを重ねるうちに,心の深いところで「何か」が温められていく。
研究は好奇心や興味をガソリンにして進んで行きますが,高いレベルのプロとしてやっていくには,やはり目標や計画がとても役に立ちます。iP-Uスタートの日に,高い目標に向かって自力で歩んでいく技術を学びました。これは色々な場面で使えそうですね。

受講生の感想(抜粋):

「きちんとした目標を立てて,どうすればいいのかを考えることの重要さに気づくことができました」

「英語による研究論文,発表をやってみたいと強く思いました」

「志の高い仲間と一緒で,とても影響を受けました」

「初めて会った人とたくさん意見を言い合うことができたのは,初体験だったし,とても楽しかった」

「参加している人それぞれが目標を持って参加していることに驚くと同時に,自分も具体的な目標を持つ必要があると痛感した」

「自分の普段の生活を振り返ってみて,だらだらと無駄な時間を過ごしているときがたくさんあると,自問自答して気づいた。また,自分の将来像を他の人に伝えたり言葉にすることで,(将来像が)より鮮明に見えてきた。ここで自分の夢をかなえる術を学んだので,これを活かして研究者の道を目指そうと思う」

「もっともっとセルフコーチングについて学びたいと思いました。私は自己実現の欲求が強いので,自分をもっともっともっと高めるのに,良いツールだと思いました」

「自分の新たな目標や一面が見られたと思うと,iP-Uに参加して本当に良かったなと感じます」

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《共通:イノベーティブデザイン入門》
8月5日には「イノベーティブデザイン入門」(共通科目,宇都宮美術館主任学芸員・橋本優子先生)を実施しました。デザインとは何かというレクチャーの後,宇都宮の街づくりをテーマに,6つのグループに分かれて提案(グランドデザイン)を考えました。

design
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新しいアイディアを生み出すためには,たくさん引き出しが必要だと先生はおっしゃっていましたね。理系だから文系的なことは知らないというのでは,独創的なアイディアは生まれません。

デザインと言うと「色や形をきれいに組み合わせること」と思いがちですが,実はそれだけではないのですね。色や形をきれいに組み合わせる前に「なぜそのような色や形の組み合わせにするのか」ということが,もっと本質的に重要なのですね。つまり,目的は何で,それを実現する方法は本当にそれでいいのかと,徹底して考えることが「デザイン」であって,色や形の組み合わせはその最終段階に過ぎないわけです。「目的は何で,それを実現する方法は本当にそれでいいのかと徹底して考えること」は,科学の研究や,新製品の開発や,様々な事業を展開するとき,さらには進路や就職先を考えるときにも不可欠です。だから,「デザインする力」はiP-U受講生の皆さんには必須の力なのです。

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《選択A:微化石から進化を探る》
8月6日には地学連続講座「地球科学:微化石から進化を探る」(選択科目,農学部・相田教授)がスタートしました!

この日は野外実習「栃木県佐野市葛生の石灰岩およびチャートの観察」。炎天下でしたが,みんな頑張って,フズリナ石灰岩,石灰角礫岩,三畳紀チャートおよびジュラ紀の深海起源放散虫泥岩などをフィールドで観察しました。

物理・化学・生物に比べると,高校で地学を深く学ぶチャンスは少ないのが実情です。地学に興味を持っている生徒さんにとって,iP-U地学講座はまたとない機会です。

地学連続講座はこの後,8/11につくば市の産総研地質調査総合センター地質標本館,海洋地質部,国立科学博物館地学研究部,植物研究部の訪問,8/21には宇都宮大学で深海底コア試料の微化石処理とプレパラート作成と続きます。

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《共通:グロ-バルコミュニケーションⅠ》
8月7日,「グローバルコミュニケーションⅠ」(共通科目,基盤教育EPUU・Newton先生・Smith先生・Garland先生)を実施しました!

「10円玉100個以上の重みに耐える橋を,ストローとセロテープで作る」といったようなものづくりアクティビティを,全編英語で行いました。ネイティブの先生は英語しか喋りません。しかし,身振り手振りを交えた楽しいトークに次第に引き込まれます。グループの力で課題にチャレンジしながら,英語は苦手な人もついつい英語を使っている。ものづくりと,先生の個性が英語のハードルを下げています。最後は英語によるプレゼンテーションにも挑戦しました。

英語はコミュニケーションの手段。たどたどしくても,言葉が出てこなくても,コミュニケーションはきっとできる。「英語を使って,研究への協力を頼むことができる」:それがiP-Uで学ぶ皆さんの達成目標です。

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(左)10円玉150個をいれた紙コップを,みんなでそーっと橋に置いているところ。

感想:

「制作をしていく中で自然と英語を使っていたので,苦手な英語だと思わなかった。自分の好きな分野を英語で話すことなら,楽しくできるとわかった」

「今日の授業は英語が理解できなくて少し泣きそうになりましたが,今後の自分のためになる授業でした。私が「よくわからない」という顔をしていても,先生方は優しく対応してくださって嬉しかったです」

「言葉がわからなくても,自分が一生懸命な姿を相手に見せることが大事だと思った」

「話し合いを重ねるにつれて徐々に形が出来上がっていき,最終的にはどちらの実験も成功に終わり,達成感と,グループで1つのことを成し遂げる嬉しさを味わえた」

「グループの人たちとも,今日一日だけでとても仲良くなることができました」

「プレゼンということは,相手がいるということ。もっと,聴き手を意識した発表をしたかったです」

「あまり積極的に意見を出すことができなかったのが残念です。わからないことは恥ずかしがらずに聴いて,理解して,話し合いに積極的に参加できるようになりたいです」

「今日一番印象に残ったのは,午前中のチャレンジです。6つのグループが同じ課題に取り組んでいたのに,同じものはできなかったこと。一見,良さそうに見えても,卵が割れてしまったことの2つです。前者からは,同じ道具を使っていても,工夫は無限にあること。後者からは,どれだけ良いもの,自信があるものでも,実際にやってみなければわからない,ということがわかりました」

「今日1日本当に楽しかったです」

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木村CD(コーディネーター)です。

皆さんと大学の先生方とをつなぐ,学級担任のような役割です。ときどき授業の後ろの方で写真を撮ったりしながら,皆さんの様子を頼もしいなぁと見ています。気軽に話しかけてくださいね。(今回のiP-U Lettersは工学部・大庭先生(写真右)と私(写真左)が書きました)

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編集後記

何とか開講にこぎつけられてよかった。3月末に企画が採択されてから,「走りながら創る」方式でやってきました。iP-Uは手作りの学校なのです。スタッフ数人で,それぞれ別の仕事と掛け持ちでやってきましたので,内心ヒヤヒヤでしたが,こうして受講生の皆さんとお会いできると達成感があります。高校や大学,教育委員会の先生方,その他たくさんの方々の応援をいただきました。ありがとうございました。

学校を創るのって,思ったよりたいへんだなと思います。大学の中に創ってるんだから,もちろんリソースはあるわけで,ゼロから立ち上げるのとは違うと思っていたんですが,動かしてみて初めて気づくこともあったりして,受講生の皆さんには「あれ?」というところもあっただろうと思います。ごめんね。

でも,こう書いてみて気づいたのですが,これって研究と同じ進み方ですね。大目標に照らして「これだ」と思ったことをやってみて,結果を見て修正しながら次の手をうつ。その繰り返しが研究を完成へと導きます。iP-Uは高校でもない,大学でもない,塾でもない,どこにもない新しいスクールです。皆さんと一緒にこのスクールを完成させていきたいと思います。(工学部・大庭)