大学院生の田中(坪山)祥子さんが 日本植物細胞分子生物学会の学生奨励賞を受賞

投稿者: | 2017年7月18日

宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの分子細胞生物学研究室(児玉研究室)に所属する大学院生の田中(坪山)祥子[たなか(つぼやま)しょうこ]さんが、一般社団法人・日本植物細胞分子生物学会(http://www.jspcmb.jp/)の学生奨励賞を受賞しました。受賞課題は「簡便なゼニゴケ形質転換技術(アガートラップ法)の開発」です。授賞式および受賞講演は、平成29年8月29-31日に大宮で開催される第35回大会(http://www.knt.co.jp/ec/2017/jspcmb35/)で行われます。

田中(坪山)さんは、栃木県の出身で、現在、博士後期課程2年の大学院生です。モデル植物として注目されている苔類ゼニゴケの遺伝子組換え技術(形質転換技術)の簡便化に成功したことが高く評価され、本賞を受賞しました。

ゼニゴケは、民家の庭や公園などで頻繁に見られるコケ植物であり、一般的には、嫌われる雑草のひとつとして知られています。しかし、ゼニゴケが属する苔類は、進化の過程で最初に水中から陸に上がった植物種と考えられており、近年、ゼニゴケは、遺伝子レベルで植物を調べる際のモデル植物として大変注目を集めています。遺伝子レベルの解析を行うためには、遺伝子を改変するための形質転換技術が必須となるため、ゼニゴケの形質転換技術は以前に報告されていました。

今回、田中(坪山)さんは、ゼニゴケの形質転換技術を極めて簡単に行う画期的な技術(アガートラップ法)を開発しました。これまでの形質転換技術では、たとえば、栄養の入った液体で育てたり、寒天の上で育てたり、寒天を入れ換えたり、と様々な操作を一度に必要としました。これに対して、アガートラップ法では、特殊な液の入れ換えをするだけで、ゼニゴケの遺伝子組換えを可能としました。現在、アガートラップ法は、世界中のゼニゴケ研究者に普及しており、様々な遺伝子解析で利用されています。田中(坪山)さんが開発したアガートラップ法は、今後の植物科学の発展に寄与すると思われ、また、田中(坪山)さんには将来の活躍が期待されています。

 

※宇都宮大学は、博士後期課程として、東京農工大学と茨城大学と共に連合農学研究科を構成しています(名称:東京農工大学大学院 連合農学研究科)。田中(坪山)さんは、宇都宮大学配置の大学院生です。

 

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